存在しないプラトニックラブ

雑和失礼(ざわしつれい)といいます

逆夜に駆ける

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完全に浮いてくる動きで またあらゆる物質が凝固するのと同じ動きで

2人以外の全人類が共有する地底空間が凝縮するのと完全に同じ様子で

日本語における「さよなら」を除いたこの世のあらゆる言語に含有される全ての言葉だった

その終わりの来ない詠唱によってすら何一つピンと来なかった

日が上り始めた段階の地平線と君以外の全人類の物理的実体を除いた概念としての存在

フェンスのあの網目のところの菱形の部分以外を透過した状態で一部分も重なる事なく完全に独立していた

数十年という単位で毎日顔を合わせてさえ

私の心の表層の表層に触れることすらしてこなかった

他者を完全に圧倒する怒気を怒涛の濃度で発散させていた君は

目が無く、逆に目を除く顔面の全てのパーツから全てを飲み込む狂喜の様相を呈していたんだ

切り取られた一瞬においてのみ「時計の進む音」以外の全部の音を吸収する世界でたった一度だけ

発する慈愛に満ちた温かい有形力、あまりに静かな物理力に涙以外の全部の体液が身体中の穴という穴から確実に吸収されているからこそ

1人でも唯一無二な絶望を確定事項として見失ってしまう

びっくりするくらい静かな切り取られた1日に

笑いが止まらなくて腹筋が全部ちぎれてる君に

想像の完全な外側にある一切の光源が存在しない真っ暗闇としての昨日を

認識できない速さで終わる朝に飛び出していった後に

僕の手以外を今すぐ離しなさい さあ

何においても忘れたくないあまり全部の媒体を通じて世界中に発信した一瞬だけは

離れることによる冷気で凝固させるけども

巨大食人猛毒ゴキブリムカデザウルスの大群より怖いよ さっき日が沈んだから

今すぐ離れて完全な他人になろう

 

君以外の全人類に視認されている全ての事象から完全に目を背けている君があまりに好きだ

100匹の蝿を同時に咀嚼する半透明のカエルを見ているかのような

好きだった人がTwitterのbioに愛国者とか書いてるのを知った時のような

そんな君の顔以外の全身のパーツが狂おしいほど大好きだ

信じたくないのに純然たる事実として信じざるをえないことなど今後の人生において

もはや二度と無いんだからそのたび毎に狂喜乱舞して大笑いするのが君の運命だ

だからこそ絶対に次の瞬間には確実に僕ら以外の全人類が間違いなく 相互理解を完全に不可能として諦めることとなるさ その可能性を全く感じないよ

まだまだ足りないんだって 8時間たっぷり寝て起きたらハンターハンターが連載再開してた時くらい元気なんだって 洗練された動きで引っ込めた僕の足を万力の握力で握って絶対に離そうとしない君

まだ始まったばかりなんだって 帰ったら玄関に所得税贈与税のかからない7億円が置いてあった時くらい元気だなんて 虚偽の中でこそ僕は言いたくないんだ

ああ ほらまた「時計の鳴る音」以外の全部の音を同時に発する存在しない世界でたった一度だけ

君にだけは絶対に聴こえないよう全力で発声した全ての言葉 全部が何故か君にだけ聴こえてる

いい加減始めようだなんてさ 自分の意志のみに基づいて心の中でのみ思った時 君はようやく笑うのをやめて完全な真顔に戻った

全く一切の物音が聞こえてこない1日に笑いすぎて顔にある全部の穴から出血していた 目の無い僕が他の五感によって感じとる君の姿はあまりに醜悪だ 亜音速で終わりを迎える朝に涙腺から逆戻りしてきた涙ではない謎の体液も 君の「怒」以外の全ての感情を放棄した究極の真顔にぶつかって跳ね返ってくる ああ

光の速さであらゆる変貌を遂げるたった1日に 笑いすぎて全部の肋骨が折れて粉になった僕を 君は尋常じゃなく乱暴な動作で始まりという概念から弾き返す

「浮いてくるように」という以外の全ての形容詞を一切想起させない動きで 「凝固する」という言葉が誕生するきっかけとなった動きと完全に同じ様子で 晴れ渡った空を腐ったロイヤルミルクティーくらい澱んだ霧が一瞬にして覆い尽くす

忘れてしまうことだけは絶対に避けたくてこの世界の全部の媒体に掲載したたった一瞬の1日に すごい速さで引っ込めようとした君の足を全身全霊の力で弾き返す

全てを焼き尽くす地獄の熱風が地を這うかのようにゆっくりと通りすぎてゆく

二度と私の足に触れるような真似をするなよ

我々2人意外の全部の人間が朝の中にゆっくり飲み込まれてゆく